2017年3月17日金曜日

なぜ橋桁を塗装するの!?(現場塗装)

前回は、工場での塗装について書きましたので、今回は現場塗装についてふれたいと思います。
橋桁を高力ボルトで接合する添接部は、接合後に現場で塗装します。

塗装の流れについて
下記に現場塗装の流れを説明します。
①素地調整(動力工具)
 トルシア形高力ボルトのピンテール破断部は、鋭利な形状となり塗料が付きにくく塗装不良の原因となるため、グラインダー等で平滑に仕上げます。その後、ワイヤーブラシが付いた動力工具で素地調整します。
破断部の処理(グラインダー)
素地調整(動力工具)
動力工具用ワイヤーブラシ
素地調整後
②高力ボルト防錆処理(有機ジンクリッチペイント2回塗布)
 防錆処理されていない高力ボルトを使用するときは、有機ジンクリッチペイントを2回塗布して、防食下地を図ります。
有機ジンクリッチペイント塗布(刷毛)
現場塗装では、工場のように専用の塗装小屋を設けることは難しく、十分な養生を行えないことが多いため、刷毛を使い塗装しています。
③ミストコート(変性エポキシ樹脂塗料下塗)
 気温が低いため、低温用塗料を使用しています。
変性エポキシ樹脂塗料低温用塗布(刷毛)
④下塗り(超厚膜形エポキシ樹脂塗料 150μm×2回塗布)
 添接部の下塗りには、塗装作業の不十分さを補う意味や、長期耐久性に必要な膜厚確保のため超厚膜形エポキシ樹脂塗料を使用しています。
(下塗り以降の作業は、本現場ではまだ施工していないため、他工事の写真を使用しています。そのため、色が変わっていますがご了承下さい)
超厚膜形エポキシ樹脂塗料塗布 1回目(刷毛)
超厚膜形エポキシ樹脂塗料塗布 2回目(刷毛)
⑤中塗り(ふっ素樹脂塗料用中塗 30μm塗布)
ふっ素樹脂塗料用中塗塗布(刷毛)
⑥上塗り(ふっ素樹脂塗料上塗 25μm塗布)
ふっ素樹脂塗料上塗(刷毛)
添接部で塗装の膜厚を全て合計すると、355μmとなり、約0.36㎜ということになります。

添接部は、凸凹していて塗料が付きにくく、一般部に比べて弱点となりやすいので、超厚膜形の塗料を使い、一般部に比べて膜厚が厚くなっています。また、ボルトのナット廻りは狭く動力工具がまわらなかったり、塗料が完全に塗布されない恐れがあるので、小さいワイヤーブラシを使ったり、小刷毛を使って作業を行い、細部まで十分に塗料を塗りつけるようにしています。

0 件のコメント:

コメントを投稿