2017年3月14日火曜日

なぜ橋桁を塗装するの!?

本橋は鋼で製作されています。鋼は鉄の性能を人工的に高めた金属です。しかし、鋼に何の処理もしないと鉄と同じく酸化して錆びてしまいます。
そこで、塗料を表面に塗り重ねることにより、腐食の要因となる酸素・水分・塩分を遮断して、橋桁を腐食から守ります。
腐食したボルト
塗装の流れについて
塗装の大半は製作した工場で行います。下記に一般部の塗装の流れを説明します。
①素地調整(ブラスト処理)
 塗装の仕上がりを良くするために、研掃材と呼ばれる鉄粉を吹付けて鋼材表面の油類・ほこり・ゴミを除去します。(鉄粉が舞ってしまうため専用の小屋のなかで行います)
ブラスト前
ブラスト後
②防食下地(無機ジンクリッチペイント 75μm塗布)
 水や塩分などの腐食性物質を遮断する性能を上げます。
(スプレーにて塗布するため、飛散しないように専用の塗装小屋で作業します)
添接部は、この状態で現場に搬入します。
無機ジンクリッチペイント塗布(スプレー)
③ミストコート(エポキシ樹脂塗料下塗)
 防食下地は多孔質であり、下塗塗料を直接塗り重ねると発泡してしまうため、それを防ぐため塗布します。
エポキシ樹脂塗料下塗塗布(スプレー)
④下塗り(エポキシ樹脂塗料下塗 120μm塗布)
 鋼材や防食下地と密着して、腐食要因である水・酸素・塩分などの浸透を抑制します。
エポキシ樹脂塗料下塗塗布(スプレー)
⑤中塗り(ふっ素樹脂塗料用中塗 30μm塗布)
 上塗りの塗装不良をなくすために、上塗り塗料に近い色で密着性のよい塗料を塗布します。
ふっ素樹脂塗料用中塗塗布(スプレー)
⑥上塗り(ふっ素樹脂塗料上塗 25μm塗布)
 水・酸素・塩分に直接さらされるので、耐水性・耐候性の強い塗料を塗布します。
ふっ素樹脂塗料上塗(スプレー)
塗装の膜厚を全てを合計すると、250μmになります。
1μm(マイクロメートル)は、0.001㎜ですので、0.25㎜ということになりますね。

このように、さまざまな塗料を塗り重ねることにより、塗装膜全体で橋桁を腐食から守っているのですね。

次回は、現場塗装の流れについて説明したいと思います。

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